ローマ監禁状態から脱出取材第2弾、コロナウイルス 下の街の写真

さて、イタリア全土に外出禁止の首相令が出されて10日が経つが、新型コロナウイルス の勢力は衰えを知らない。3月19日、イタリア国内で感染が確認せれた人数は4万人を超え、前日より4480人増えた。又、19日現在、3405人の尊い命が奪われ、この数は中国で発表されている死者の数を抜いて世界最大となった。イタリアがここまで深刻な事態に陥るとは誰も予想していなかった。正に緊急事態。いよいよ市民への行動規制も厳しくなるだろう。すでに仕事や健康を目的とした外出以外は罰金、場合によっては禁固刑が課せられる事になっている。それでも僕はローマの公認ガイドとしての使命を果たそうと今回二度目のロケハンに行くことにした。警察から止められて職務質問などされた際に見せる申請書をウエストポーチに入れ、黒のジョギングウェアと白のマスクをつけて家を出た。これから監禁状態脱出取材第二弾を書く。

僕の家はテルミニ駅付近なので地下鉄やバスの便は良いところなのだが、こんな時だから、軽くジョギングで最初のロケ地であるパンテオンに向かった。がやはり人は少ない。スーパーや薬局で買い物をした人が、そそくさとマスクをして歩いている姿を見かけるがその他の店は全て閉まっている。それにしても、街の中でマスクをする習慣がなかったイタリア人は2週間前までは誰もしていなかったのだが、今はほとんどの人がしているのだから不思議だ。そんな中、街中で結構見かけたのはデリバリーサービスだ。彼らはネットで自分の近くの店に注文が入ったらそこに真っ先に行って配達をするという仕組みになっており、レストランやピッツェリアが閉鎖されている今、やたら繁盛しているようだ。

デリバリーサービスと同じぐらい見かけるのは警察。パンテオンに着くまでには国会議事堂などもあり、彼らはいたる所で目を光らせている。そんな中をわざわざ突っ走って変に問題に引き込まれたりしては面倒なので、極力回り道などをしながら走ることにした。つまり軽くジョギングというよりは警察から必死に逃げ回っていたという感じだった。

そしてやっとパンテオンに到着!パンテオンのパンは、皮肉にも今全世界に流行っているパンデミックのパンと同じ意味だが、パンテオンの方は全ての神々という意味になる。神の家を表すドームの直径は、なんと43.3メートルで、現在でもローマで最大の直径を誇る建造物だ。これが作られたのは2世紀の初め、しかも材料はセメントで、今も健在である。小さくさえ見える周りの密集した民家はパンテオンのすぐそばにまで押し迫って来ており、人々が1900年もの間このパンテオンを愛し、共に生活して来た事を雄弁に物語っている。いつもなら大勢の観光客やローマの市民で賑わい、美味しいカフェの匂いがしてきたり、ストリートミュージシャンの綺麗な音楽が鳴り響いていたりするのだが、今日はそれもこれも夢のようだ。

ナボーナ広場。元は1世紀の競技場跡に作られた広場だ。かつては駆け足競技や幅跳びなど、今もオリンピックの種目になっているような競技を行っていた。つまり紀元前2世紀にギリシャがローマの支配下となると、ローマ世界からも、4年に一度のオリンピックに出場するようになったという事。現在はバロックの巨匠ベルニーニの噴水が広場をより華やかに活気付けている。本来なら大道芸人が人々を楽しませる中、高価なカフェがテラスにもテーブルを並べている。そういえば第二次世界大戦の引き金ともなった世界大恐慌が発生していた最中に、全く人のいないナボーナ広場を描いた画家がいた。これでひとつ、あの作品の謎が解けた。
テベレ川にかかる天使の橋を渡るとサンタンジェロ城がある。アンジェロとはエンジェルの事。元は2世紀にハドリアヌス帝が作った皇帝の霊廟であった。伝説によると6世紀の終わり頃、街がペストに侵されていた時のこと、恐ろしい伝染病に感染した人々がこの霊廟のそばを通りかかると、空から天使が舞い降りてその疫病の終結を告げたとされる。実際この国は幾度となく疫病の脅威にさらされ、それを乗り越えてきた歴史をもっている。今回の世界が直面していいるウイルス事件も、空から宇宙人が降りて来て特効薬をくれる〜だったりして(笑)。とにかく早く終息してほしいものだ。
サン・ピエトロ大聖堂。これがカトリックの総本山、バチカン市国にある世界最大の面積と豪華さを誇る寺院である。16世紀のルネッサンス期にミケランジェロが設計したドームは、高さ135メートルと巨大であるにも関わらず、どこから見ても計算された調和を感じさせる。そして17世紀にバロックの巨匠ベルニーニが設計した広場は大聖堂をさりげなく巧みな技法で演出している。今は誰もいないこの広場にはなんと20万人が集まれる。日本ではカトリックの勢力が恐れられ鎖国令が敷かれていた頃ローマにはこれほど大きな広場が必要とされていたのである。
今日のロケハンはこれで終わりだ。帰りも走って帰ろうと思っていたのだが、家から5キロぐらい離れてしまったし、色々とスリルもあり過ぎたので、地下鉄で帰ることにした。普段大混雑のOttaviano駅もご覧のように無人!
プラットホームも無駄に電灯が明るく感じる。本当にここに電車が来るのだろうか。。と思いきや意外とすぐに来た。
2月は車内混み混みだったのにも関わらず、マスクをつけていたのは僕と中国人だけだったが、今はこんなにすきすきな車内でも意外と皆んなつけていて、それぞれが1メートル以上の間隔を保つ、という結構難しそうな首相令にも従いながら、緊迫感を持って乗車しているのが感じられた。
こんな状態がいつまで続くのか、今のところイタリアにおいての首相令が効力を持っているのは4月3日までだが、場合によっては引き延ばされる可能性があるとの事!そんなにこの状態が長く続いたらどうなっちゃうだろう?!昔ローマの市長が不法で物を売る難民たちを厳しく取り締まったことがある。するとこれまで穏やかだったバングラデシュ人の難民がひったくりをする事件が起こってしまった。それじゃぁこれまでコソ泥だった奴らは、腹が空いたら強盗になってしまうかもしれない!経済が悪くなるとそれまで平和だった街の治安が悪くなるかも知れないって事!平和にみえた世界が戦争に巻き込まれるかも知れないって事!そんなになったらヤバくない?

第一弾はこちらから

著者:  原井シュウジ

Romanissimo

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